
転職で内定を承諾したら「もう後には引き返せない…」と考えていませんか?実はそんなことはありません。内定を一度承諾した後であっても辞退することは可能です。
しかし、一旦OKを出した内定先に辞退を伝えるのはすごく気が重いもの。
「引き止められて長引くのではないか…」「揉めてしまったらどうしよう…」と不安がよぎり、なかなか言い出せずにいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では「平和に内定を辞退する伝え方・タイミング」について、私自身の経験や転職エージェントからのアドバイスなどをもとにまとめました。
伝え方の例文も交えて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
転職で内定を承諾した後でも辞退はできる
転職で内定を承諾した後でも辞退するころは可能です。しかし、実際に辞退しようとすると、こんな疑問が出てくるのではないでしょうか?
- 内定承諾書を提出した後でも辞退は可能?
- 内定辞退の連絡はいつまでにすべき?
- 内定辞退の連絡は電話とメールどっちが良いの?
これらの疑問について解決していきます。
内定承諾書とは“辞退可能な労働契約書”
内定承諾書を提出した人の中には「書面を交わしていしまったら辞退はもうムリなのでは…?」と思う人も多いと思います。しかし、たとえ承諾書や誓約書を提出した後であっても内定を辞退することは可能です。
では、そもそも「内定」とは、どういう状態なのでしょうか。
「内定」は、会社から「内定通知書」を受け取り「内定承諾書(誓約書)」を提出した時点で成立します。
法的に言うと「始期付解約権留保付労働契約」が成立した状態を指します。
「内定」の時点から成立する労働契約のこと。言葉を解体してみると…
- 「始期付」=入社日を迎えるまでの期間
- 「解約権留保付」=入社日前に内定を取り消し・辞退できる
つまり内定承諾書を提出し「始期付解約権留保付労働契約」が成立した後でも、内定は辞退できるということです。
内定辞退の連絡は入社日の2週間前にはしよう
承諾書を提出した後でも内定辞退は可能ですが、ひとつ気を付けるべき点があります。それは「2週間前までに申し出る」ということ。
先述したおり、内定とは入社前ではあるけど労働契約が成立した状態。
就労時の労働契約では「会社を辞める際は2週間前に申し出ること」という民法の規定があります。労働契約である内定も同様、辞退を申し出るのは「2週間前まで」です。
しかし、例外もあります。
- 入社まで2週間を切った時点で予期せぬ事態が発生した場合
- 内定成立した時点で、すでに入社まで2週間を切っていた場合
例外1:予期せぬ事態の発生
「予期せぬ事態」とは、本人や家族に重病が発覚したり事故に遭ったりした場合などです。このようなやむを得ない事態に関しては、会社からの理解を得られる場合が多いです。
例外2:入社まで2週間を切っての採用
転職の場合「すぐに来てほしい」と内定から入社まで1週間程度しかないこともありえます。 そのような場合も会社と話し合うことは可能です。これらの例外を除いては、遅くても2週間前までに内定辞退を申し出なくてはいけません。
会社側は内定者の入社準備を着々と進めています。辞退の意志を伝えるのが遅くなるほどに、会社が受ける傷は深くなってしまいます。
少しでも傷が浅いうちに、内定辞退を決めたら早急に会社に伝えるべきです。
辞退の連絡は電話で!不在ならメールでもOK
内定辞退を決意し「いざ会社へ伝えよう!」という時「電話とメールどっちが良いんだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
内定辞退の連絡は、まず電話でするのが基本です。しかし、相手が不在の場合など、状況によってはメールでも良い場合もあります。
ここでは「なぜ電話ですべきか」や「メールでもOKな場合」について詳しく解説していきます。
まず電話で伝えるべきである理由
内定辞退の連絡は「まず電話で伝える」ことを強くおすすめします。その理由はこちら。
- 一刻も早く伝える必要があるため
- メールでは見逃すリスクがあるため
電話で伝えることをおすすめするのは、内定辞退は急を要する事態であるためです。
内定辞退を伝えるのが遅くなるほど会社への負担は大きくなってしまいます。内定辞退を決意した時点で一刻も早く伝える必要があります。
メールの場合、人によっては確認が大幅に遅れてしまう可能性があります。
さらに恐ろしいのは、メールを見逃されてしまうことです。LINEなどと違い、Eメールでは既読確認ができません。確実に相手に伝わったかどうかを確認する手段は、相手からの返信のみです。
「相手が見逃したのが悪い」といったところで、会社に負担をかけてしまうことには変わりありません。
内定辞退を伝えるなら、”早くて確実”な電話をおすすめします。
メールの連絡でもOKな状況
内定辞退のおすすめの連絡手段は電話とお伝えしましたが、状況によってはメールでも良い場合があります。
- 相手が不在などで電話がつながらない場合
- 電話が憂鬱すぎて連絡できずにいる場合
メールでもOKな状況1:相手が不在
相手が不在などで電話がつながらなかった場合、メールで伝えておくのがおすすめです。
電話がつながるのが遅くなっても、メールを送っておけば「早く伝えようとしていた意志」は伝わります。
しかし、メールを送って終わりではありません。すぐに返事が来れば良いですが、返信が無い限り伝わっていない可能性があります。
返事が来るまでは、電話をかけ続けた方が良いです。
「やっと電話がつながった!」となった時に「ご不在でしたのでメールでも送っておきましたが…」と前置きすることができます。
メールでもOKな状況2:電話がこわい…
内定辞退を電話で伝えるのは、大変気が重いものです。
中には気まずさから「ど~~~~~しても電話ができない…」と内定辞退を伝えるのがどんどん遅れてしまう人もいるかもしれません。
そんな人は、まずメールを送ってみてはいかがでしょうか。
大切なのは、会社にいち早く伝えること。もし電話できずに内定辞退の連絡が何日も遅れてしまうようなら、メールだけでも早く送ることをおすすめします。
メールで伝えること自体は決して失礼なことではありません。
ひと昔前までは「重要なことをメールで伝えるなんて…」という風潮がありましたが、今は寛容になってきています。むしろ、メールの方がありがたいという人がいるくらいです。
内定辞退の連絡に電話をおすすめする理由も「メールでは失礼だから」ではなく「早く確実に伝えたいから」です。
【例文あり】転職の内定を平和に辞退する電話・メールの伝え方
転職の内定辞退を伝える際は、会社側の不快な思いを少しでも軽減できるように務めなくてはいけません。電話とメールそれぞれ、伝え方のポイントと例文をお伝えします。
電話で内定辞退を伝えるときのポイントと例文
電話で内定辞退を伝えるときに重要なのは「適切なタイミング」と「誠意ある態度」です。そのポイントと例文をお伝えします。
電話で内定辞退を伝えるときのポイント
- 電話するタイミングは「始業直後」「終業前」「お昼時」は避ける
- 辞退理由の詳細は伝える必要なし
- 「内定への感謝」と「辞退への謝罪」を伝える
相手になるべく迷惑にならない時間を考えると、バタバタと落ち着かない「始業直後」「就業前」休憩時間である「お昼時」は避けたいところです。
午前10:00~12:00
午後14:00~16:00
この時間内に電話するのが無難です。
もし相手が不在だった場合は、折り返してもらうのではなく「自分からかけなおす」と伝えるのがマナーです。
話す内容については、内定辞退の理由を細かく説明する必要はありません。
「検討した結果、他の会社に決めた」という大まかな趣旨だけ伝わればOKです。聞かれないかぎり、会社名などを伝える必要はありません。
そして、なにより大事なことは「内定への感謝」と「辞退への謝罪」を伝えることです。
これらを踏まえ、電話で伝える際の例文をご紹介していきます。お伝えしてきたポイントを意識しながら参考にしてみてください。
例文
1.担当者が電話に出たら…
先日内定をいただきました〇〇【名前】です。
いまお時間よろしいでしょうか?
POINT
相手が話せる状況であるかを確認する。
2.大丈夫と言われたら…
先日いただいた内定につきまして、身勝手なお願いで大変恐縮ですが、辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
承諾書を提出した後にもかかわらず大変申し訳ございません。
まず内定辞退の意志を伝える
3.もし、辞退理由を聞かれたら…
理由は簡潔に伝える
4.辞退を容認してもらえたら…
本来なら直接お詫びに伺うべきところですが、取り急ぎお電話での連絡となってしまい申し訳ありません。
内定への感謝を伝える。また、電話連絡となったことをお詫びする。
5.最後、電話を切る前に…
それでは失礼いたします。
最後に辞退への謝罪を伝える。
電話は想定通りにはいきません。一字一句違わぬよう言葉を用意するのではなく、臨機応変に対応できるように伝えるべき内容を大まかにまとめておくと良いです。
メールで内定辞退を伝えるときのポイントと例文
メールは「簡潔に」かつ「丁寧に」伝えることが大切です。そのポイントと例文をお伝えします。
メールで内定辞退を伝えるときのポイント
- 件名と本文冒頭で「内定辞退」を伝える
- 理由を簡潔に伝える
- 「内定への感謝」と「辞退への謝罪」を伝える
メールの内容はダラダラと長文にせず、必要な内容をできるだけコンパクトにまとめるようにします。
まず伝えるべきは「結論」です。読み始めてすぐに「内定辞退を伝えるメール」だとわかるように件名と本文冒頭で辞退の意志を伝えます。
理由については電話と同様大まかでOKです。
メールは電話よりも感情が伝わりにくいです。感謝と謝罪の気持ちが会社側に少しでも伝わるよう丁寧に言葉を選びましょう。
メールは電話と違い送る時間は選びませんが、勤務時間外に送るのはあまりおすすめしません。
勤務時間外に送ると、相手が会社のメールをスマホに共有していた場合、プライベートな時間にメール通知が届いてしまうためです。
例文
【件名】内定辞退のご連絡(○〇○○)←名前
株式会社○○
人事部
△△さま
お世話になっております。
先日、内定をいただきました〇〇【名前】です。
(先ほど電話させていただきましたが、ご不在のようでしたのでメールにて失礼いたします。)
先日承諾書を提出させていただいた内定につきまして、大変恐縮ではございますが辞退させていただきたくご連絡差し上げました。
内定承諾後の辞退ということで大変非常識なお願いとなってしまい、誠に申し訳ございません。
辞退の理由につきましては、御社と同時期に選考いただいていた会社からも内定をいただき、悩んだ末そちらの会社で頑張ってみたいという結論に至った次第です。
貴重なお時間を割いていただいたにも関わらず、このような身勝手な連絡となりましたこと、心よりお詫び申し上げます。
本来なら直接お詫びに伺うべきところですが、取り急ぎメールにてご連絡させていただきました。(明日改めてお電話させていただきます。)
転職活動を通して、○○様はじめ採用ご担当の方々に大変お世話になりましたことを心より感謝しております。本当にありがとうございました。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
**********
名前&連絡先
*********
※()内は状況に応じて入れたり抜いたりしてください。
参考:転職エージェントを通した内定の辞退方法
転職エージェントを利用しての内定だった場合、どのように辞退すればよいのかをお伝えします。
担当者に内定辞退したい旨を伝える
転職エージェントを通している場合、内定辞退の意志を伝えるのは企業ではありません。転職エージェントの担当者に伝えます。その後、担当者が企業に内定辞退を伝えてくれます。
担当者に伝える際に重要なことは、退職理由を正直に詳しく伝えることです。
転職エージェントを利用している場合、担当者との意思疎通が大変重要です。担当者に内定辞退の理由をしっかりと伝えておかなければ、また同じ状況を招いてしまうかもしれません。
担当者側も内定辞退の理由を具体的に把握できないと、次の転職先候補の探し方がわからくなってしまいます。
担当者は「辞退の理由」をそのまま企業に伝えることはありません。なので、安心して正直な理由を伝えられます。
参考:複数社から転職内定した場合の辞退方法
複数社に応募していた場合、2社以上から内定をもらうこともあります。
もし、第1志望の会社以外から先に内定のお知らせが来た場合、すぐには決断できませんよね?そのような場合は、一度保留してもらうことができます。
保留にしておけば、もし断りたいと思ったときでも内定辞退は回避できます。内定を保留したい時の伝え方のポイントはこちら。
- 保留の理由を正直に伝える
- 保留期間をきっちり設定する
- 保留期間中も状況報告する
保留の理由を正直に伝える
保留を申し出る際は、その理由を正直に伝えます。待たされる側の会社としては、明確な理由がわからずに保留されるのは納得がいきません。
嘘をつかず正直な理由を伝えることが誠意ある対応です。
例えば、第1志望の会社からの合否がまだ来ていない場合「内定を受けたい気持ちはあるが、他に受けた会社も含めて納得した上で転職先を決めたい」という趣旨を正直に伝えます。
その際に、他の会社が第1志望だということを伝える必要はありません。
保留期間をきっちり設定する
一般的に内定通知が来た際に返答期限が設けられていることが多いです。返答期限内に答えを出せるのであれば問題ありません。
しかし、他社の合否がわかるまでに返答期限を超えてしまう場合は、内定先に「いつまで待ってもらえるか」を確認します。
もし、いつ合否がわかるのかを把握していれば「●日までお待ちいただくことは可能でしょうか?」とこちらから提案することもありです。
1番ダメなのは、期限を設けずに「待ってください」とだけ伝えること。これは内定先の都合を無視していて大変失礼です。
保留させてほしいときは、返答期限を決めて伝えることをおすすめします。
保留期間中も状況報告する

保留期間が1週間以上と長い場合は、状況変化があった際などに報告のメールを送っておくのがおすすめ。
何か動きがあった際、内定先に「今はこのような状況です」とメールを送ると丁寧です。メールを受けた会社は「うちのことをしっかり気にかけてくれている」と感じ、保留中でも良い印象を持ってもらえます。
転職の内定辞退についてのQ&A
一度、内定辞退し企業に再応募は可能か?
内定辞退した会社に再応募することは基本的には可能です。
会社によっては再応募不可だったり、内定辞退してから一定期間は再応募できなかったりする場合もあります。その場合は、それに従うしかありません。
それ以外の場合は、会社が再び人員募集をした際に再応募できます。
しかし、一度内定辞退をしたことで良くない印象を与えている可能性が高いです。そのため不利であることも理解しておかなくてはいけません。
再応募する前に、電話やメールで「再応募は可能か」を問い合わせることをおすすめします。
実際に再応募する際は「なぜ内定辞退をしたのか」「なぜ再応募したのか」を明確に伝える必要があります。会社が納得できる理由だった場合、採用される可能性が出てきます。
大前提として、誠意や礼儀のない内定辞退をしていた場合は採用される可能性はゼロと考えておくべきです。
内定辞退するときは「再応募するかもしれない」ことも念頭に置いて丁寧なやりとりが大切になります。
転職の内定を辞退して、損害賠償を求められることはあるのか?
内定辞退によって損害賠償を求められることはほとんどありません。
しかし、このような場合に損害賠償を求められるケースがあります。
- 入社直前で常軌を逸したひどい態度や理由で内定辞退した場合
- 内定者のために多額の設備投資を行っていた場合
上記理由でも、会社側が内定辞退による具体的な損害を証明できない限り、賠償金を請求することはできません。
しかし、万が一のことを考えて内定辞退は慎重に誠意を持ってに行わなくてはいけません。
転職の内定辞退して後悔…立ち直るための対処法は?
内定辞退を後悔している人も少なくありません。後悔している間は、何をしていてもそのことばかり考えてしまい苦しいですよね。
もし後悔で苦しんでいるなら、このように考えてみるのはいかがでしょうか?
内定辞退した会社に入社していたとしても、後悔していた可能性が大いに考えられるということ。
内定辞退した会社が、自分にとって良い会社だったかは実際に働いてみない限りわかりません。どんな会社にも一長一短は必ずあります。
また、今ある状況は常に「自分の人生においてベストな状態である」と考える事も立ち直りへの近道です。
今は後悔して苦しい状態であっても「あの時、内定辞退しておいてよかった」と思える瞬間が必ず来ると考えられると、前向きになっていきます。
内定辞退したことばかりにフォーカスせず、人生を長い目で引いて考えてみることがおすすめです。
転職の内定をスムーズに辞退するには「誠意」と「スピード」が重要
今回ご紹介した内容をまとめると、平和に転職の内定辞退を伝えるには…
- 入社日の2週間前までに伝える。
- 連絡はまず電話で。不在ならメールを送る。
- 伝えるときは「内定への感謝」と「辞退への謝罪」を忘れない
- 転職エージェントの担当者には理由を具体的に伝える
- 複数社から内定をもらったら保留してもらう
内定辞退で重要なのは、一刻も早く伝える「スピード」と内定をくれた会社に対する「誠意」です。「スピード」と「誠意」さえ持って行動すれば、揉めることはほとんどありません。平和な内定辞退が期待できます。
実際に内定辞退を伝えるときが来た際は、ぜひこの記事の例文などを参考にしてみてください。